57号 特集【連携する国立大学】取組一覧

57号 特集【連携する国立大学】取組一覧

連携でつくる新しい国立大学のカタチ

【1.教育:共同教育課程による学部・大学院の連携 等】

機関名タイトル関連

URL

概要
北海道大学
帯広畜産大学
国際水準の獣医学教育の展開
~欧州獣医学教育機関協会(EAEVE)の認証取得~
 北海道大学獣医学部と帯広畜産大学畜産学部は、互いの強み・特徴を活かした共同獣医学課程を平成24年度に開設。国際的な質保証を目指して欧米に伍する獣医学教育を構築し、令和元年12月、アジアの大学では初となる欧州獣医学教育機関協会における認証を取得。これは、実施する獣医学教育が欧米水準で世界に通用することを意味する。今後も大学間で連携し、国際通用性のある獣医学教育のさらなる発展や、我が国の獣医学教育の国際化推進を図る。
秋田大学
秋田県立大学
共同ライフサイクルデザイン工学専攻
~資源の採掘、製品の企画・設計から廃棄・リサイクルの「ライフサイクル」において、環境負荷の低減を考慮~
 SDGs(持続可能な開発目標)のターゲットに循環型社会の形成や環境負荷の低減がある。
ライフサイクルデザイン工学は、資源採掘から製品の企画・設計、使用、リサイクル・廃棄に至る製造物のライフサイクルにおける環境負荷の低減を図る学問分野である。
当専攻は2012年度に秋田大学大学院工学資源学研究科(現理工学研究科)と秋田県立大学大学院システム科学技術研究科の共同教育課程として開設され、資源・環境工学から材料・電気・機械・土木・建築工学、さらには経営工学を含有するカリキュラムを構成している。
筑波技術大学障害者高等教育拠点事業
「障害学生の修学支援の充実を目指すリソース・シェアリング」
 本センターは平成22年度に文部科学省より教育関係共同利用拠点「障害者高等教育拠点」として認定され、高等教育機関で学ぶ聴覚・視覚学生の修学支援に関する相談対応、各種講習会等への講師派遣、他大学の教職員を対象としたFD/SD研修会をこれまで計24回開催している。
令和2~6年度の事業においても、他大学の教職員を対象として、聴覚・視覚障害学生に対する指導・支援方法をテーマとしたFD/SD研修会を開催することで、全国の高等教育機関で学ぶ聴覚や視覚障害学生の教育アクセシビリティの充実を目指す。
信州大学
福井大学
京都工芸繊維
大学
大学間連携教育プログラム「繊維・ファイバー工学コース」
~各大学の強みを生かし、3大学で繊維の世界をリードする繊維系大学連合の構築を目指す~
 大学院に繊維・ファイバー工学分野の専攻を有する繊維系三大学の協働により、修士課程に設けている連携教育プログラムである。繊維系企業技術者を招へいして行う合同研修、他大学へのアカデミックインターンシップ、海外の繊維系大学教員による授業など通じて、繊維の基礎から応用、製品開発までの一貫した知識と技術を備え、課題設定・解決力、リーダーシップ、グローバルな視野を兼ね備えた技術者の育成を目指している。
金沢大学
北陸先端
科学技術大学院
大学
融合科学への挑戦
~Transdisciplinary Sciencesに向けた大学院教育の展開~
 独創的な発想と卓越した研究力を基に、科学技術イノベーションの基盤を生み出し社会実装できる「科学技術イノベーションを担う高度専門人材」を養成するため、両大学は、平成30年4月に融合科学共同専攻修士課程を設置し,令和2年4月には博士後期課程を設置した。
イノベーションの源泉である「新たな知」の創造は、既存の科学分野を超えた複数の科学分野の”融合”から生まれるとの考えから、異なる専門分野における学びに積極的に挑戦する”分野融合型大学院教育”を2大学共同で実施している。
豊橋技術
科学大学
長野・岐阜・
沼津・鈴鹿・
奈良工業高専
高等専門学校専攻科との協働による
「先端融合テクノロジー連携教育プログラム」
 高等専門学校専攻科との協働による、課題解決力と技術の社会実装力に長けた人材育成を目的とした2年間の分野横断型教育プログラム。両機関が開設している講義・実験実習の履修に加え、それぞれでの機関で開設するマネジメント等の座学や課題解決型実習の科目などの中から、自身の将来像に合わせて学習計画を立てるテーラーメイド型カリキュラムを特徴としており、修了者は、高専専攻科の修了資格と本学の卒業資格の両方を得ることができる。
大阪大学
金沢大学
浜松医科大学
千葉大学
福井大学
連合小児発達学研究科
~子どものこころの問題に対して科学的な視点で対処できる人材を育成~
 大阪大学大学院連合小児発達学研究科は、5つの国立大学法人の、臨床医学・生命科学・心理学・教育支援学など異なった背景を持つ子どもの心の研究者が集い、既存の領域を超えた新しい学際領域で子どものこころの問題に対して科学的な視点で対処できる人材を育成する3年制博士後期課程の大学院である。
広島大学
徳島大学
京都大学
ハーバード大学
新産業創出を担うゲノム編集研究者を輩出する人材育成プログラム
 文部科学省の「卓越大学院プログラム」採択プログラム。ゲノム編集の基礎から応用に至る知識と技術を修得し、食料・エネルギー・病気の治療といった人類の根源的な問題の解決に寄与する、ゲノム編集先端人材を育成する。国内トップクラスのゲノム編集研究実績を有する広島大学を中心に、京都大学、ハーバード大学、徳島大学ならびにゲノム編集産学共創コンソーシアムの参画企業との連携により、多彩なカリキュラムを整えている。
山口大学
鹿児島大学
アジア初!共同獣医学部による欧州獣医学教育国際認証(EAEVE認証)取得
 平成24年度に日本初となる鹿児島大学との「共同獣医学部」設置、平成30年度からは大学院レベルでも「共同獣医学研究科」を設置し、国際水準の獣医学教育を実践するための、学部から大学院まで一貫した双方向性遠隔講義システムによる『相互補完による共同教育体制』を構築。
そのうえで、国際通用力のある獣医師養成及び我が国の獣医学教育の水準向上のための取り組みとして、2大学により欧州獣医学教育国際認証(EAEVE認証)へ申請し、昨年12月にアジアで初めて認証を取得。
この結果は、北の共同教育課程のグループ(北大・帯畜大)との4大学間での戦略的連携による獣医学教育改革の成果が一定の評価を得たものである。
九州大学
北海道大学
九州大学・北海道大学が連携する大学院修士課程の資源工学系共同教育課程
 本専攻は、大学院修士課程の共同教育課程である。
従来より、九州大学は資源分野の”上流”に位置付けられる「地質・探査」や「採鉱・選鉱」に関する教育を得意としており、北海道大学は資源分野の” 下流”に位置付けられる「製錬」や「環境保全」に関する教育を得意としている。
本専攻では、学生が両大学で講義や演習を履修することで、資源分野の上流から下流までを網羅した、資源工学に関わるすべての技術を理解した高い俯瞰力を持った人材を養成する。
また、国際インターンシップや留学生とのディベートのセミナーなどを通じて、異文化・社会の相互理解を促し、高い国際性を身に付けさせる。さらに、従来の両大学の資源系専攻のカリキュラムにはなかった資源マネージメントの教育を導入し、国際的な政治や経済の動向などを考慮した資源開発のデザインやマネージメントを担いうる能力を身に付けさせる教育を展開している。
鹿児島大学
熊本大学
南九州プラットフォームと教職員支援機構による合同セミナー
 鹿児島大学教職大学院と熊本大学教職大学院との間で締結している南九州プラットフォームの事業として、教職員支援機構との合同セミナー「ミドルリーダーのマネジメント能力育成プログラム」を平成30年度より開催している。同機構が開催する指導者養成研修が、連携協定の締結に伴い、同じ内容の研修を鹿児島県、熊本県で実施できるようになり、2年間で約80名の参加者を得た。今後の地元教員の資質向上への貢献が期待される。

【2.研究:共同研究拠点の設置による研究の推進を目的とした連携 等】

機関名タイトル関連

URL

概要
筑波大学
福島大学
弘前大学
日本原子力研究開発機構
量子科学技術研究
開発機構
国立環境研究所
共同利用・共同研究拠点
「放射能環境動態・影響評価ネットワーク共同研究拠点」事業
 筑波大学アイソトープ環境動態研究センター、福島大学環境放射能研究所、弘前大学被ばく医療総合研究所、日本原子力研究開発機構、量子科学技術研究開発機構、国立環境研究所が、放射性物質の移行過程の研究解明とその影響を評価するとともに、福島の環境回復の様々な課題解決に資することを目的とした機関横断的連携による事業を、文部科学大臣の認定を受け、2019年4月1日から活動を開始している。
筑波技術大学
北海道大学
札幌学院大学
北星学園大学
宮城教育大学
群馬大学
東京大学
早稲田大学
立教大学
日本社会事業大学
放送大学
静岡福祉大学
名古屋大学
愛知教育大学
日本福祉大学
同志社大学
京都大学
京都産業大学
大阪大学
大阪教育大学
関西学院大学
広島女学院大学
愛媛大学
松山大学
福岡教育大学
九州大学
九州ルーテル学院
大学
(2020年1月現在の正会員大学)
聴覚障害学生支援に関する大学間ネットワーク
「日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)」
 聴覚障害学生支援に関する大学間のネットワークで、2004年に結成された(事務局:筑波技術大学)。現在の主な活動内容として、①聴覚障害学生支援に関する大学間の情報交換および事例検討、②好事例やノウハウの蓄積・発信(シンポジウム等)、③ネットワークを活かした専門的助言・相談対応、④コンテンツの開発(冊子、映像、ウェブコンテンツ等)、⑤聴覚障害学生支援技術の開発(遠隔情報保障システム等)、⑥聴覚障害学生支援データベースの構築・運営 等に共同で取り組んでいる。
京都大学
カリフォルニア大学サンディエゴ校
(アメリカ)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校
(アメリカ)
グラッドストーン
研究所(アメリカ)
IFOM(The FIRC Institute of Molecular Oncology)
(イタリア)
マケレレ大学
(ウガンダ)
清華大学深圳
研究生院(中国)
復旦大学(中国)
中央研究院(台湾)
ウィタヤ
シリメティ-
科学技術
大学院大学(VISTEC)
(タイ)
マヒドン大学
(タイ)
(令和2年5月1日
現在)
On-site Laboratory事業
「海外の大学や研究機関等と共同で設置する現地運営型研究室」
 On-site Laboratoryは、海外の大学や研究機関等と共同で設置する現地運営型研究室です。海外機関等と活発な研究交流を行い、世界をリードする最先端研究を推進するとともに、優秀な外国人留学生の獲得、産業界との連携の強化等、大学への波及効果が見込める様々な取組の実現を目指し、本学が世界の有力大学に伍して第一線で活躍するための基盤や体制を強化することを目的としており、現在、計10ラボを設置しています。
岡山大学
島根大学
鳥取大学
広島大学
山口大学
徳島大学
香川大学
愛媛大学
高知大学
川崎医科大学
川崎医療福祉大学
AMED「橋渡し研究戦略的推進プログラム」岡山大学拠点
~健康寿命の延伸を目指した次世代医療~
 岡山大学では、AMEDの支援により橋渡し研究戦略的推進プログラム岡山大学拠点を設置し、「健康寿命の延伸を目指した次世代医療」をビジョンに、他の拠点・支援機関や中四国等の基幹病院で結成した「中央西日本臨床研究コンソーシアム」との連携を深め、拠点内のみならず、中四国等の大学、大学病院、研究機関から生み出される優れた研究成果・研究シーズについて、本プログラムでの共同研究等を通じ、実用化に向けた支援を行っている。
広島大学
山口大学
徳島大学
愛媛大学
地方協奏による世界トップクラスの研究者育成
 文部科学省「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」の採択事業。代表の広島大学を中心に、中国・四国地域の国立大学3大学に加え海外機関とも連携。若手研究者を対象にした研究者育成プログラムを開発・実施する。多彩な分野で国際共同研究の要となる人材を育成するため、国内や海外の先進事例の知見を取り入れ研究者間の国際ネットワークの強化など研究プラットフォームを構築する。所属が違っても多くの若手研究者が切磋琢磨する実践的な研修などを通して世界トップクラスの研究者を育成し、日本全体の更なる研究力強化につなげる。
愛媛大学
デ・ラサール大学(フィリピン)
フィリピンにおける国際共同研究拠点の設置
 国際共同研究の推進を目的として,フィリピン・マニラのデ・ラサール大学内に愛媛大学サテライトオフィスを設置した。学長裁量経費等を活用した重点的な先行投資を行い,実験機器の設置や常勤の研究者や事務職員を配置するなど,海外研究拠点の整備を推進している。また,愛媛大学内の複数の部局に跨る教員を集約した東南アジア環境健康研究リサーチユニットを組織して,この海外研究拠点をより機能的に活用するための研究組織も整備した。
熊本大学
宮崎大学
熊本大学薬学部と宮崎大学農学部による薬・農連携のための学部間学術交流協定
 2019年5月に熊本大学薬学部と宮崎大学農学部は学部間学術交流協定を締結しました。熊本大学には農学系の学部がなく、農学の全ての教育研究分野を網羅している宮崎大学農学部と連携協定を締結し、宮崎大学が所有する希少なヒノキ壮齢林や、照葉樹二次林を特色とする演習林等の施設について、熊本大学薬学部が展開している天然物科学研究に活用することを目的としています。また、宮崎大学農学部においては、熊本大学が保有する精密な化学分析技術を活用して、農林水産業に関わる新たな技術を共同で開発することを予定しています。本協定は、農業県である熊本県及び宮崎県の農林水産業の発展に寄与するとともに、薬用植物の栽培や創薬につながる新たなビジネス連携の展開も目指しています。

【3.組織:大学の機能強化に関する連携 等】

機関名タイトル関連

URL

概要
岩手大学
岩手県立大学
岩手県立大学
盛岡短期大学部
岩手県立大学
宮古短期大学部
岩手医科大学
富士大学
盛岡大学
盛岡大学短期
大学部
放送大学岩手
学習センター
一関工業高等
専門学校
岩手県内高等教育機関で組織する「いわて高等教育コンソーシアム」における連携
 いわて高等教育コンソーシアムは、平成20(2008)年度の文部科学省の補助金「戦略的大学連携支援事業」への採択を機に、平成20 年9月26日に県内5大学(岩手大学、岩手県立大学、岩手医科大学、富士大学、盛岡大学)で発足し、参加機関を増やし(一関工業高等専門学校他全10連携校)ながら教育、研究、地域貢献の各分野における連携を進めてきた。東日本大震災発災後は被災地支援活動にも注力している。
豊橋技術科学
大学
長岡技術科学
大学
技科大・高専連携に基づく地域産学官金協創プラットフォームの構築と全国展開による自立的な財政基盤・マネジメントの強化
 豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学は、全国に展開する高等専門学校との連携による重層的かつ多様な教育・研究機会の提供を目指し、以下の改革を推進している。

  1. 両技科大・高専連携による、全国ネットの技術・産業の高度化による地域再生
  2. 幅広い産学連携により財源を多角化し、大学の経営基盤を強化
  3. 学生教育から社会人リカレント教育まで、IT/AIに強い技術科学人材の効果的育成
広島大学
山口大学
愛媛大学
徳島大学
島根大学
大学経営力強化のための「大学連携IRコンソーシアム」における連携
 大学経営力強化のためには、構成員のパフォーマンスの正確な把握が必須である。本コンソーシアムでは、各大学がIR機能を強化し、連携大学共同IRシステムの構築により、連携機関の全構成員の活動状況を共同システムに蓄積している。それを基にして、共通教員重要業績指標(C-KPI)の導入により全構成員のパフォーマンスを共通尺度で把握し、また、研究者の専門性の抽出と可視化システムの導入により産学共創エンジンの高度化を図っている。