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グローバル化時代を担う人材の質の向上に向けた教育の充実
(1)〜(3)
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全体的な印象では,提言の内容はそれぞれ極めて妥当であると評価できるが,余りにも網羅的・羅列的で,これらの提言の中でどれに重点が置かれているのか,必ずしも明確でない憾みがある。
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○ |
提言を実際の教育の現場で生かすには,大学の個別の事情,あるいは個々の教員や学生の能力,興味など多様な要因によって,当然一様には行かないはずであり,むしろ各大学の特徴を生かすように提言が検討されるようにとのコメントが必要。
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○ |
具体的な教育方法が重要な問題であるが,教育方法改善のためには学生の授業評価のほか,教員自身及び教員相互の点検評価が不可欠であろう。
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○ |
教育側の大学の立場からの提言はこれでよいとして,学生の立場に立った個人別教育メニューの策定の提言を盛り込むべきである。
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○ |
用語の問題で,「グローバル化」「リテラシー」等のカタカナ言葉については,その言葉の定義あるいは説明が必要。
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○ |
「1 グローバル化時代を担う人材の質の向上に向けた教育の充実」の箇所で,教養教育の重視は当然で妥当な提言と思うが,「グローバル化」というとき教養の重視だけでよいのか。「教養教育と専門教育のバランスの取れた……」というコメントがどこかに必要ではないか。
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○ |
具体的な表現の訂正意見
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p.5 12行目 |
「学際的・複合的視点」→「学際的・多角的視点」
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◇ |
14行目 |
「深い倫理的判断と高い責任感」→「高い倫理的判断と強い責任感」
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◇ |
p.9 5行目 |
「これを引き出すことができるよう」→
「その能力を伸ばすことができるよう」 |
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(4) 教員の教育能力の向上及び教育の質的向上を図るための評価・認定
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教員の教育能力や実践的能力の重視
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教育活動に関する大学の自己点検・評価の推進
これまで大学の教員の評価は,確かに研究能力に偏していたきらいはあるが,現実問題として,教員の教育能力の評価方法は非常に難しい問題を含んでいる。ファカルティブ・ディヴェロップメントを今後具体的な点検項目として着目していくほか,教員の外国における実践的な教育経験を評価することも重要である。ただし,用語として,「教育能力」は良いが「実践的能力」という言葉は理解しがたいことと大学設置基準等の資格審査基準として「教育能力」と「実践的能力」を指標化することは言うは易いが具体化は困難である。
また,大学の組織的な教育活動に個々の教員の努力については,大学独自に自己点検しうる方法を確立し,同時に他者による評価を得て,相互に批判し尊重しあうシステムを構築することが重要である。ただし,文章として「卒業時の質の確保に向けた教育機能」は分かりづらいこと及び「大学の組織的な教育活動に対する評価」は具体例をあげた方がよい。さらには,ここで挙げられている提案については,実際の効果が得られた具体例などの事例・データがないと単なるアイディアの列挙に留まってしまうおそれがある。
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大学評価・学位授与機構の評価をはじめとする教育に関する多元的な評価の推進
文部省と大学評価・学位授与機構との間で緊張した関係を維持し,大学基準協会を含め他の評価主体の意見を充分に尊重しながら,国際的にも耐えうる多元的・客観的な評価がなされうる状態を創り出すことが重要である。
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各種専門職業教育のアクレディテーション・システムの導入・支援
WHOの体制のもとでサービスの貿易自由化が急激に進み始め,技術者の交流を円滑に進めるための技術者資格の相互承認や,資格の前提条件である技術者教育の同等性の認定が求められるようになり,我が国では具体的に工学分野において技術者教育の資格認定制度がJABEEで進められているが,国際的競争力の観点から,今後はこの動きは大変に重要になってくる。国際的な教育の評価の観点からも,他の分野においても緊急な検討が必要である。
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2 |
科学技術の革新と社会,経済の変化に対応した高度で多様な教育研究の展開
(1) |
国際的な魅力と競争力を備えた教育研究の推進
グローバル化ということが,アングロアメリカンスタンダードへの接近だけでは困る。先端的・学際的な教育研究が従来の学部・学科システムの上で専攻を整備することのみで進むとは思えない。大学院等の課程設置を,在来型の学部学科方式で認可することの限界に現在の教育システムはつきあたっていると思う。縦割り型の学科設置認可の柔軟化(厳密な意味での認可者の責任解除)よりも,設置者の自由な発想に基づく学問領域の複合化・総合化,さらには特殊化を例外なく認め,その成果を多様な評価によって検証し,不適合な発想と組織は淘汰され,社会に受け入れられる組織は自律的発展が可能になる体制にいかなくてはならないと思う。従来型の定食型カリキュラムを基礎にした設置基準や資格の認定は難しくなりつつあるように思う。このような意味で,欧米等の職業資格と学科・専攻教育をリンクする方式を越えた,基礎教育と自発的学習(特化されたものでよい,インセンティブの重視)を一組にした日本型の学部教育と,大学院修士課程では複数の専門領域を学びうる教育体系を作る必要があるように思う。アメリカ型の専門大学院を強いインセンティブで一般化することには躊躇がある。
教養教育とは何かといった理念上の果てしない不毛の議論はやめにして,学部学生が自然や社会の実態にふれて考え続ける自発的に学習する場を,専門分野を越えて集団で交流することのできるカレッジ型の教育の場を作ることが出来れば,学生は何を知らないかを自得するようになり,その成果成人として生きていくための自分の位置決めが出来るようになる。場の構成に十分な施設設備と必要な指導者を配する具体の議論が必要であろう。
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(2) |
社会の要請に応えた柔軟な教育の展開および(3) 生涯学習ニーズヘの対応
学部研究科を定型的に作って,その複数を学ぶということではこの目的は達せられない。定型的なプログラムの存在を可能にしつつ,アメーバー型の学習も常態的に可能なような,カリキュラム・シラバスを作る必要がある。大学院修士課程と学部後期部分で共通的に使えるようなプログラムを組むことができるとよい。定型的な学部・学科・専攻システムを卒業することが前述のように必要である。
企業と大学,大学間,大学と社会(自治体・政府機構)等の共同は当然のことである。学部学科の定型的な課程の止揚がそれを可能にする。社会人の大学への帰還のための奨学金,アシスタントシップと家族寮の充実がこれを可能にする。20歳前半と30歳半ば以降のふた山の年齢分布を持った学生群を作ることによって,教師と学生,そして産業界が抱えている現代の高等教育の質の問題の半ばは解決されるであろう。
単位累積制度とパートタイム学生の受け入れは,上記の目的のために当然に設計・普及させるべき事項である。
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3 |
情報通信技術の活用
○ |
「3 情報通信技術の活用」で情報教育,インターネット教育は今後の高等教育で極めて重要であると考えるので,提言の趣旨に賛成である。但し,「情報通信技術」はあくまでも手段として「活用」されるべきで,情報教育,インターネット教育だけが今後の高等教育の最重要課題という幻想を抱くことへの懸念がないわけではない。
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○ |
具体的な表現の訂正意見
p.16
13行目 「人格形成期にある青年層の学生」→「人格形成期にあたる青年期の学生」
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4 |
学生,教員等の国際的流動性の向上
p.21
(学生の海外派遣の充実)
5行目 短期留学による→留学する
{現実的には,人数を多くするために短期(……1年間……)がよくやられているが,本来であれば短期ではなく,必要十分な期間はとるべきである。したがって短期は省く。}
p.22
(留学生を組織的に……開発・実施)
1行目
質の良い留学生を受け入れることが重要であるので,そのために,各大学に枠をあらかじめあたえて,各大学の協定校等を通して選考できるようなことを考えるべきである。
(事前教育や……の利用)
帰国後,全員といかないまでも,各大学で選抜して活躍している人物を短期間でも日本に来てもらうようにすべきであろう。
p.23
(留学生に対する……拡充)
いいことづくめが書かれているが,実現のための方法が入っていないのは残念。国,地方団体のみでなく産業界,等にも強く働きかける等を加える。
(UMAPの活動支援)
この内容もすべて正しく,異論はないところであるが,特別な分野を除いて,日本の学生が積極的に参加することはかなり難しいのではないかと考えられる。それを打開する方策を考える必要がある。例えば,P.24の上から3行目で,(……,学生交流を更に増大させることが望まれる。)とあるが望まれるのは確かであるが,どのような方策をとるのかの検討がなされていない。「各大学において,……」とあるが,文章の“あたり”はよいが,それに終っている気がしてならない。
P.24の(4)もあたり前の正論が正論として書かれていて,迫力がない。
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最先端の教育研究の推進に向けた高等教育機関の組織運営体制の改善と財政基盤の確保
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大学の組織運営体制の改善
(教員の流動性の向上)
助手を含む若手教員がその大学に勤務したくなるような待遇上のインセンティブが必要である。そうでないと,一部の有名大学だけが流動性向上の利益を受けることになる。
(教員構成の国際化)
優秀な外国人教員にとっては,待遇に加え,競争的研究費申請の機会の確保と建物スペースなどの研究教育環境が条件になるので配慮が必要である。現状のままで優れた外国人を望むことには限度がある。
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(2) |
高等教育機関の財政基盤の確保
(欧米なみの公的支出の確保)
目に見える着実な実績を是非とも期待したい。 |
(提出先:大学審議会)
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