1. |
「評価結果、方法上の問題点」について
このたびの評価報告書の作成・公表は、初めての評価ということもあり、今後改善すべき課題が、御指摘の点も含め少なからず生じていることを自覚しつつ、大学評価委員会及び専門委員会等において、「評価結果に対する意見申立書」の内容を慎重に検討の上、行ったものであります。
改善すべき課題については、各年度における評価の方法・内容の改善により速やかに対応することが可能なもの、専門委員会等の運営方法等を改善することにより対応可能なもの、段階的実施期間(試行)中の経験を集約しつつ検討することにより改善可能なものなど、各課題の内容を整理して検討する必要があると認識しております。機構では、これまでも貴委員会の御指摘はもとより、対象機関からの御意見、機構の評価担当者の意見等を真摯に受け止め、大学評価委員会及び各専門委員会で審議し、評価方法等の改善に努めてまいりましたが、今後ともよりよい評価内容・評価方法の構築に向けてさらに一層の努力を行っていく所存であります。
なお、今回の評価を通じ認識した課題については、社会に積極的に明らかにしていく視点から、別添「平成12年度着手の大学評価の評価結果について」の中で整理の上、評価報告書とともに公表いたしました。
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2. |
「申し立ての取り扱い」について
(1) |
機構の判断を加えずに全文を評価報告書に記載すること。
「評価結果に対する意見申立書」については、平成14年1月29日付けの通知文書により、原文のまま評価報告書に掲載する方針を明記しているところです。この方針どおり、このたびの評価報告書の作成においては、「評価結果」に係る申立ての全てを評価報告書に掲載しました。
なお、今回は、評価結果の記述のみでなく、その記述を含む最終公表様式である「評価報告書(案)」として対象機関に送付し、同案全般にわたって気づいた点を「意見の申立て」とは別に提出していただきました。これらは、機構において評価報告書を取りまとめる際の参考にさせていただきました。
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(2) |
指摘された点については、誠実にその適否を検討すること。 |
(3) |
機構の側の対応の理由を、公正性に十分配慮して具体的かつ明確に示すこと。
申立てのあった意見については、大学評価委員会及び専門委員会等において、当該申立て内容への対応について審議し、評価報告書では個々の意見ごとに「意見への対応」と「対応の理由」を掲載いたしました。 |
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3. |
「評価結果の公表」について
(1) |
研究、教育の双方にわたって、最終的な評価報告書では、今回の評価が試行段階であり、方法、手続き、評価結果などについて様々な問題点を残していることを明確に述べること。
今回行われた評価が段階的実施(試行)期間中のものであることについては、全学テーマ別評価、分野別教育評価、分野別研究評価のそれぞれの全評価報告書に明示しております。
また、評価内容・評価方法等について今後改善すべき課題が少なからず生じていることについては、別添「平成12年度着手の大学評価の評価結果について」の中で明らかにし、公表したところであります。 |
(2) |
研究評価において分野別の研究水準について数字による記述をおこなうことについては慎重に再検討すること。
平成12年2月の大学評価機関(仮称)創設準備委員会の報告においては、分野別研究評価の内容・方法の一つとして、研究活動の状況を社会に分かりやすく示すなどの視点から「個別の研究業績や各種データを踏まえたピア・レビュー(対象分野の専門家による評価)を中心とした評価を行い、学科・専攻レベルでの状況を明らかにしていく。」との提言がなされております。大学評価委員会及び関係専門委員会においては、この提言の趣旨も踏まえつつ、種々審議した結果、平成12年度着手の分野別研究評価の評価項目「研究内容及び水準」において、領域ごと及び対象組織の研究水準の状況を「卓越」「優秀」等の割合で示すこととしたところであります。
分野別研究評価における研究水準の具体的な判定は、領域ごとに設置された部会を中心に一定の基準の下に行われました。当該判定基準そのものに関し種々御意見があることは承知しておりますが、今回の研究水準の判定自体は、設定された基準の下で関係専門家の御努力により適正に実施されたものと認識しております。
なお、分野別研究評価「理学系」については、領域によって判定基準に差異が生じたことから、大学評価委員会及び関係専門委員会において、各領域の結果を積み上げた対象組織全体の割合を示すことは不適切と判断し、当該割合を示さないこととしました。 |
(3) |
評価結果の社会への公表にあたっては、その性質について誤解がないように十分配慮すること。
全学テーマ別評価、分野別教育評価、分野別研究評価(「研究内容及び水準」並びに「社会(社会・経済・文化)的貢献」の評価項目を除く。)のいずれにおいても、各対象機関が設定した目的及び目標に照らして、当該機関における取組や内容がその実現にどの程度貢献しているか、あるいはどの程度達成しているかなどを、社会に分かりやすく示す視点から、定型化された4種類の表現により水準を示しております。また、この水準が単純にランキングを示すものとして用いられないよう「これらの水準は、当該大学等の設定した目的及び目標に対するものであり、相対比較することは意味をもたない。」との注意書きを、各評価報告書の冒頭「大学評価・学位授与機構が行う大学評価」の項に記述しています。また、同趣旨の注意書きを別添「平成12年度着手の大学評価の評価結果」にも記述しております。
他方、上記(2)に記述した事情により、分野別研究評価「理学系」における研究水準の判定については、「領域によって判定水準に差異があることから、示された水準の割合を領域間で相対的に比較することは意味をもたない。」との注意書きを、分野別研究評価「理学系」の全評価報告書に記述しています。また、同趣旨の注意書きを同評価報告書の別添資料「理学系研究評価における研究水準の判定基準について」にも記述しております。 |
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4. |
「評価方法の見直し」について
(1) |
評価に用いるフォーマットの画一性を緩和し、各大学が行っている自己評価を積極的に用いるなど、大学側の労力を削減すること。
自己評価実施過程等における負担が大きいという指摘があることについては、対象機関からの自己評価実施後の意見等を通じて、機構としても認識しております。この背景には、機構の自己評価実施要項の示し方の問題や対象機関にとって初めての経験であったことなどがあると考えられます。機構としては、客観性の高い評価の実施を担保することとの関連を考慮しつつ、対象機関はもとより、評価者側の負担の軽減も含めて、今後とも継続的に検討すべき重要な課題と考えております。なお、このような視点から、大学評価委員会においては、先般平成14年度着手の全学テーマ別評価のテーマ数を減らす決定をしたほか、対象機関からのより分かりやすい自己評価実施要項を作成すべきとする要望を踏まえつつ、平成13年度着手に係る自己評価実施要項の改善に努めたところであります。
他方、機構の評価においては、多面的な評価を実施する観点から、全学テーマ別評価、分野別教育評価、分野別研究評価のそれぞれについて、3〜6個の評価項目を設けております。しかし、その内容自体は大綱的な示し方になっております。また、各大学における自己点検・評価の積極的な活用については、機構の自己評価実施要項においてもその活用を促す記述をしており、実際にもその活用が進んでいると認識しております。 |
(2) |
大学の自己改善に資するような評価の方法、結果の表現方法を工夫すること。
機構の評価は、各大学等の教育研究の改善に役立てることを重要な使命としております。今回は、初めての評価ということもあり、評価に直接携わっていただいた多数の専門委員及び評価員の諸先生の御努力にもかかわらず、必ずしも十分なものになっていない部分があると認識しております。機構としましては、今後も評価の経験を積み重ねる中で、また各界からの御意見を踏まえつつ、大学評価委員会及び各専門委員会において御審議いただきながら、自らの使命を十分果たせるよう改善のための努力を行っていく所存であります。 |
(3) |
そうした観点から、今回の経験を踏まえて大胆に評価のシステム全体を見直すこと。
今回の評価を通じ明らかになった課題等は、現在進行中の平成13年度着手の評価で可能な限り改善を図りましたが、計画中の14年度着手の評価においても更に改善を図る所存であります。 |
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5. |
「申し入れの取り扱い」について
これまでも国立大学協会からの御要望に対する平成12年10月3日付けの機構の回答の趣旨に沿って、適時御説明をしてまいりました。今後とも、貴委員会から申し入れがあった場合には、回答させていただく方針です。
なお、申し入れの文書及び本回答文書については、御要望どおり当機構のホームページに速やかに掲載させていただきます。 |