「法科大学院の設置基準等について(中間報告)」に対する意見

平成14年6月25日
国立大学協会
第7常置委員会

 法曹養成を司法試験という「点」よりも、むしろ大学院での養成という「プロセス」を重視するものに切り替えるという法科大学院の構想については基本的に賛成であり、また、設置基準等の内容がかなり具体化してきたことは望ましいと考える。ただし、なお今後ご検討いただきたい事項がいくつかあるため、以下においてそれらの点についてふれておきたい。

法科大学院の修了生と司法試験との関係について
 法科大学院が学校教育法上の正規の学校として設立されるものである以上、その修了生の修了後の進路を無視することはできず、その観点からすると司法試験との関係でいくつかの要望がある。一つは、法科大学院の設立を大学に求める以上、国は2010年までに新司法試験の合格者3000名という目標を厳守すること、また、現行の司法試験の温存によって新司法試験が骨抜きになることのないようにすること、である。
 さらに、「司法制度改革審議会意見書」では、法科大学院の修了者の相当程度(例えば 7〜8割)が新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うこととし、他方で、その意見書および本中間報告では、第三者評価(適格認定)の制度を提示している。これらの点を考慮するならば、2010年以降については、充実した教育を担保された法科大学院の修了者については、例えば医師の国家試験などのように一定のレベルに達している者については、数の制限なしに合格させるというような方向についてもご検討いただきたい。

法学関係の研究者の養成との関係
 法科大学院では、他の専門職大学院の構想と同様に修士論文が不要とされ、選択制にもなっていない。しかし、これによると法学関係の研究者の養成についての懸念が残る。その観点からすれば、研究者養成の場を確保するためにこの法科大学院と接続した博士課程を認めるという方向でのご検討も、今後お願いしたい。

設置基準関係について
 設置基準関係については、以下の点についてさらに明確に示していただきたい。
(1)授業科目の単位数の割り振りについて
 中間報告では、課程の修了要件として、法律基本科目群、実務基礎科目群、基礎法学・隣接科目群、展開・先端科目群からなるカリキュラムで93単位以上が必要であるとされているが、それぞれの科目群の最低必要単位数についてはどのように考えているのか。
(2)短縮できる科目に限定があるかどうか。
 法学既修者については、1年以下(30単位以下)を短縮し、2年以上(63単位以上修得)での修了が可能であるとされているが、短縮できる30単位分の科目については特に限定はないのかどうか。すなわち、法律基本科目群、実務基礎科目群、基礎法学・隣接科目群、展開・先端科目群のうち、いずれかの群に属する科目に限定されるのか、あるいは、科目群についての限定はないのか。

[要望先:中央教育審議会 大学分科会長]