◆ 資 料 編
筑波技術短期大学が協力できる視覚障害学生受入れ大学への支援

1 視覚障害学生の受入れ体制の整備について
 視覚障害者には、まったく視力のない全盲の人から部分的に視力の残っている弱視者まで多様な視覚機能障害をもつ人が含まれます。一人一人の障害の内容が異なり、個別の障害保障を必要とします。しかし、すべての視覚障害者に共通して、文字情報と画像情報の伝達障害が高等教育を受けるための最大の障害となります。これを補償する体制の整備が必要になります。  
 重度視覚障害者の場合は、教材の点訳とかキャンパス内の安全の確保など種々の障害補償が必要です。弱視者は重度視覚障害者に比べると文字を拡大するとか、学習環境として 照明などに配慮するなど、比較的に対応が容易ですが、眼の病気が進行中であったり、障害の受容がまだできていない場合が多いのが特徴です。いずれにしても、個々の学生に対する精神的なカウンセリングと障害補償に関する専門的なアドバイスのできる体制が必要 となります。

@ 支援体制全般に関する評価と助言(担当者との情報交換)
A 該当学生に適した支援の内容に関する情報提供 

2 視覚障害学生の障害の状況の的確な把握について
 眼科医の診断に基づいてその障害が具体的にどのような内容であるか、どのような対応が必要であるかについて情報を提供することができます。  
 また、ロービジョンクリニックなど専門的な眼科医に関する情報を提供できます。

3 視覚障害学生のための施設・設備の整備について
 コンピューターを利用した情報伝達システムの発達と障害補償関連ソフトの開発によって電子化された文字情報は、視覚障害者が直接的に普通の文字にアクセスすることを可能にしました。これは、視覚障害者にとって点字の発明・普及と同等かそれに優る画期的な ことです。したがって、キャンパス内とその周辺での安全確保に加えて、障害補償情報システムの整備が視覚障害学生の有無にかかわらず、すべての高等教育機関に必要と思われます。筑波技術短期大学では、これらに関する情報と助言を提供することができます。

@ 点字ブロック、点字サイン、音声ガイド、照明等の整備について
A 障害補償情報端末(個々の学生の障害に応じた環境設定、合成音声装置とソフトウェ アの組み込み、文字などの拡大、背景の色と文字の対比)
B 点訳教材(資料)の作成システム(点訳ソフト、立体コピー機、印刷文字読み取りシ ステム、点字ディスプレイ、点字プリンターの機能の紹介と設置)
C 図書館の設備(点字データベース、録音図書データベース、電子図書データベース、 情報検索システム(弱視者用と重度視覚障害者用)、対面朗読スペース、印刷文字読み取 り・読み上げシステム、点字印刷機、個別照明等の整備)

4 視覚障害学生の学習・学生生活に関する支援体制の整備について
 大多数の視覚障害学生は、入学以前に学習に必要な障害補償方法を身につけているはずでが、実際には視力の補助具とか拡大読書機などの使い方も知らない学生がいます。また、上述のように、視覚障害者にとって画期的な情報伝達システムの利用については知ら ない学生のほうが多いのが現状です。また、自分自身の視覚障害についても理解が不十分のことが多いので、広く深く身体障害の内容とその社会的な補償システムなどについての理解が必要です。  
 筑波技術短期大学は、視覚障害学生のための教材作製のための支援体制や学生本人に対する指導に関して協力、情報提供をいたします。

@ 視覚障害補償システムの利用方法の教育(情報基礎、電子メール、データベース利用 など)
A 視覚障害補償用パソコンの使用法の研修(拡大提示ソフト、合成音声装置など)
B 弱視用レンズ・拡大読書機などの弱視者用障害補償機器
C 視覚障害に関する講師の派遣
D 視覚障害学生のメンタルヘルス・ケアーについて
E 視覚障害学生の生活自立支援に関する情報の提供
F 学生との連絡システム(拡大文字掲示、点字掲示、連絡専用電話、電子メール、緊急 避難・誘導など生活情報の伝達手段の整備)

5 教官等への支援体制の整備について
 重度視覚障害学生にとっては、口頭による説明が最も重要な情報源になります。分かりやすい説明は障害学生の有無にかかわらず、教官の責務ではありますが、方向用語など視 覚の無いものにとっては分かりにくい言葉をさける必要があります。  
 また、高等教育を受けようという意欲のある学生は、点字の利用が実用レベルに到達し ているものが大多数ですので、教科書や配布資料の点訳が必要になります。
  説明のために図やスライド、ビデオなどを使う場合、視覚障害学生に対してどのように配慮しなければならないかなど、実践的なノウハウや研修の機会を提供することができます。

@ 視覚障害学生に対する話し方、板書や拡大図の提示、講義の方法についての研修
A 対象学生の実態把握についての研修への協力(視覚障害の内容、必要な配慮)
B 当該大学の近隣にある盲学校等の視覚障害教育専門家ネットワークの紹介
C パソコンを利用した印刷教材電子化システムの紹介と整備の助言(日本語読み取りソ フト、英文読み取り・読み上げシステム)
D 点字の基礎研修と点字教材作成の研修(点訳ソフト、点字校正ソフト、点字印刷)
E 触図や拡大文字教材作成と利用方法の研修
F 数学・物理・情報処理系の点訳サービス及び点訳システムについての研修と指導
G 東洋医学及び現代医学の点訳データベースの利用と提供
H 模型の利用、模擬体験を通した学習方法についての研修

6 ボランティア等の支援体制の整備について
 重度視覚障害者にとって点訳や朗読ボランティアは不可欠です。また、日常と異なる場所へ行くときには、ガイドヘルプが必要です。最近は、日本各地にこれらのボランティアグループが作られ、活発に活動しています。しかし、大学教育レベル、特に専門教育レベ ルに対応できるボランティアは少ないので、ボランティアを養成する必要があります。

@ 点訳や朗読のボランティア団体などの紹介
A 点訳・朗読ボランティアの育成(点訳・朗読サービスの講師の紹介、講習会などの情 報提供)

7 全学の教職員・学生に対する啓発について
 一般に、視覚障害者に対してどのように接遇すればよいかを知らないために、適当な支援をできない人が多いのが実状です。しかも、視覚障害者の多くは、外見的には障害をも つことが分からないことが多いので、無理解にもとづく誤解がしばしば生じます。視覚障害学生に直接対応する教職員はもとより、同じキャンパスで生活する学生や他の教職員が 視覚障害に関する基本的な知識と支援の仕方について、具体的な理解をもつための機会を提供することが望まれます。


@ 視覚障害に関する研修の講師の派遣・紹介
A 代筆、代読サービス、重度視覚障害者の歩行ガイドの仕方等についての情報提供
B 大学周囲の情報(交通、タウン情報、立体地図など)の提供方法についての助言
C 視覚障害に関する参考書や学術論文の紹介  


8 卒業後の進路開拓について
 いろいろの身体障害者のなかで、最も就職の困難なのは視覚障害です。しかし、これは雇用者が障害補償のできる視覚障害者を知らないことに原因があります。  
 筑波技術短期大学では、これまでの経験に基づいて職域開拓に関する情報を提供できます。

@ 進路開拓と就労に際して雇用者側に提供する障害補償に関する情報についての助言
A 視覚障害学生の職域、受け入れ企業に関する情報提供
B 視覚障害者の就労環境の整備に関する情報提供
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