◆ 資 料 編
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聴覚・視覚に障害をもつ学生を受け入れている 大学への協力・支援について |
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筑波技術短期大学 |
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近年、障害をもつ人の進学意欲が高まり、大学への入学者も急速に増加しています。各大学におかれましても、障害をもつ学生への対応に色々のご努力をされていることと存じます。 本学は、聴覚・視覚障害をもつ学生を対象とする3年制の初の高等教育機関として、昭和62年に設置されました。障害補償の方法やカリキュラム等を開発しつつ高等教育を展開するという努力を重ねて参りました。なお多くの課題が残されていますが、これまでの教育・研究のなかで貴重な成果を得ることができました。 障害をもつ学生、特に聴覚・視覚障害をもつ学生を受け入れようとされる大学、あるいは既に受け入れておられる大学において、今後の参考にしていただけると思われる事項を整理してみました。なにかのお役にたてば幸いです。 |
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1 障害学生の受け入れ体制の整備について (1)障害学生を受け入れる場合、個々の教官や一部学生等の善意にのみ頼るのではなく全教職員の理解のもと、組織的な支援体制を整備することが不可欠です。しかし、最初から完全な組織を整備することは困難ですから、まず、障害学生との相談窓口、指導を担当する教官へのアドバイスや情報提供、障害(者)に関する全学的な理解・啓発など基本的な機能を整えることとし、具体的な対応については、専門的な機関との協力のもと着実な取り組みを進めることが適切ではないでしょうか。 (2)障害学生への対応に当たっては、「一般的な環境整備や教育課程の改善が障害学生の支援につながる」ということを基本に考えることが大切です。また、障害学生のための施設・設備の整備や教育方法の工夫は、全ての学生に反映されることになります。 (3)大学における支援体制は、全大学で統一的に整備するのではなく、大学間の連携・協力により効果的な支援活動を行うことが必要でしょう。そのためのネットワークを考えることも必要かと思われます。 |
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筑波技術短期大学では、これまでの教育・研究から得た成果を、希望される全ての大学に情報提供し、また、具体的な活動についても可能な限り支援を行っていきたいと考えています。 その中心となる「相談・支援室」を開設しています。 |
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2 学生の障害の状況の的確な把握について 受け入れる学生個々の障害の状況を、専門的な立場から的確に把握することが、入学後の教育や学生指導を円滑かつ適切に行う上でとても大切です。施設・設備の整備や学生への支援、協会への支援を行う上での前提になります。 最大の課題なのですが、十分な対応がとられていないケースが見受けられます。 |
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筑波技術短期大学では、障害学生の障害の実態把握とそれに対する障害補償について全体的な情報提供や個別のケースに即した支援の用意があります。 | |||||||
3 障害学生のための施設・設備の整備について (1)円滑で安全な移動、便利で快適な空間を保障するなど障害学生の就学に不可欠な基本的な施設・設備の整備は、全大学共通的に必要なことです。これらの整備は、開かれた大学の視点からも重要です。 (2)個々の障害学生に対する配慮を適切に行うためには、先例を参考にしつつ障害学生の希望や考えを聞くとともに、障害の状況に適合していることが大切です。それを十分に行わないと、真に利用しやすい環境整備になりませんし、不要な整備を行うことにもなりかねません。 (3)また、施設・設備の整備に当たっては、緊急時の避難を念頭に置いておくことが特に大切です。(全教職員、学生、来学者のためにも必要なことです。) |
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筑波技術短期大学では、個々の学生の聴覚・視覚障害の状況に応じた施設・設備の整備についての情報提供や全学的な整備計画の策定などに協力することができます。 | |||||||
4 障害学生の学習・学生生活に関する支援体制の整備について (1)障害学生の学習を円滑に行い充実した学生生活を実現するためには、学生個々の障害に応じた最も適切な(過大でない)障害の補償措置を講じることが必要です。 (2)障害学生の状況、支援の方策・内容とその具体的展開について、全学教職員が共通理解し、また、履修指導、具体的な授業に当たっての配慮と工夫、授業外の学習に対する支援、メンタルヘルス・ケア、進学・進路指導など広い範囲にわたる対応が望まれます。障害に適応した履修指導を円滑に進めるため、授業内容の弾力化、授業科目選択の拡大などの配慮が望まれます。(障害学生のための特別の対応ではなく、多様な学生への対応の延長と考えることが適当でしょう。) (3)障害学生にとって、自身の障害を理解し、受容し、克服することが必要であり、入学時のオリエンテーションやガイダンス、カウンセリングが特に重要になりますが、障害や障害補償に関する専門的な授業の開設も必要になります。こうした授業は、一般の学生に対しても良い効果を上げることが期待できるものです。 |
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筑波技術短期大学では、個人の状況に応じた障害補償の方法、教育上の工夫、メンタルヘルス・ケアに関する情報提供や具体的な助言を行うことができます。また、障害関係の授業の提供を行うことが可能です。 さらに、教材の作成の支援、補償機器の試用についても協力します。 |
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5 教官等への支援体制の整備について (1)障害学生への対応のなかで、授業を担当する教官や学生生活を指導する教職員に対する情報提供や、具体的な対処方法に関する相談・支援の体制を整えることは、特に重要な課題です。 (2)特に、初めて障害学生の指導に当たる教職員が、障害学生の学習の様子を実地に観ることは、その後の指導にとても役立つと考えられます。 (3)障害学生に対するあらゆる指導の成果についてデータベース等のかたちで蓄積することにより、その後の指導や他大学への支援に役立てることができます。 |
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筑波技術短期大学では、初めて障害学生の指導に当たられる教職員に対してアドバイスや情報提供を行い、また、実際の指導に当たって、問題解決や教授法の向上を希望される教官に対して、研修を行ったり随時相談に応じ必要な支援を行う用意があります。 | |||||||
6 ボランティア等の支援体制の整備について (1)障害学生の学習や学生生活を支援するため、ボランティアの役割は非常に大きなものがあります。 (2)ボランティアを行う学生にとっても重要な意義があり、また、地域のボランティアの協力は社会との連携面で貴重な機会と考えられます。 (3)障害学生に対するボランティア活動に当たっては、必要な知識・技術・態度を予め身につけておくことが必要です。また、ボランティアの支援を受ける障害学生に対しても同様の事前指導が重要です。 |
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筑波技術短期大学では、ボランティアの育て方についての助言や支援、地域のボランティアや専門技術者に関する情報提供などについて協力できます。 | |||||||
7 全学の教職員・学生に対する啓発について (1)障害者が大学教育を受け、障害を克服していくためには、障害について理解する学生と教職員の支援が欠かせません。 (2)そのため、全教職員・学生に対する障害に関する理解・啓発活動が不可欠です。 |
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筑波技術短期大学では、これまでの教育・研究成果をもとに、障害の理解・啓発に有益な資料を提供したり、研修等のための講師を派遣したりすることができます。 | |||||||
8 卒業後の進路開拓について (1)障害学生にとって、大学教育を受けたのち、その成果を生かして職業を通じて社会自立することは大きな課題です。 (2)そのために、障害(者)に関する企業の理解を得ること、就職後の継続的なフォローアップ、リカレント教育など多面的な対応が必要になります。(一般学生についても同様のことがいえますが。) |
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筑波技術短期大学では、就職希望者の全てが学習経験を生かしながら関連する主要企業に就職しています。もちろん職場への適応や定着などの課題を抱えています。
本学では、企業に対する啓発活動、受け入れ企業の状況、就職後の対応などについて、情報を提供することができます。 |
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本学は、聴覚・視覚障害者を対象とする高等教育機関として、特別の施設・設備・教材・教職員が準備されていますので、本学の成果がそのまま適用できないことも多いと思いますが、各大学で、今後対応を検討される上で参考になりそうな情報を提供することができると思います。また、色々なご相談に随時お応えしたいと考えています。 「相談・支援室」にお気軽にご連絡ください。 |
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相談・支援室 |
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☆「相談・支援室」には、相談員、相談協力者がいます。 内容に応じて、グループを組んで、ご相談に対応します。 ☆ご連絡は、先ず、次の専門員にお願いします。
☆なお、全般にわたることについては、室長にご連絡ください。 |
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(聴覚・視覚障害の別に、本学で支援できる具体的事項を示した資料がありますので、参考までに添付します。) |
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